共働き子育て世帯のための災害時連絡ルール：家族を守る安否確認と連絡網の作り方
災害時、家族の安否確認はできていますか
共働きで幼いお子さんをお持ちの皆様にとって、日中に災害が発生した場合、家族の安否確認は最大の懸念事項の一つではないでしょうか。職場と学校や保育園、自宅と、それぞれが離れた場所にいる状況で、どのように連絡を取り合い、安全を確認すれば良いのか、具体的な対策を講じることは簡単ではないと感じるかもしれません。
しかし、災害時の混乱の中で家族の安全を守るためには、事前の準備が非常に重要です。このページでは、忙しい共働き子育て世帯の皆様が、短時間で実践できる具体的な災害時の連絡ルールと連絡網の構築方法について解説します。家族がどこにいても、お互いの安全を把握し、再会するための計画を立てていきましょう。
なぜ災害時の連絡ルールが必要なのでしょうか
大規模な災害が発生すると、電話回線やインターネット接続が混雑し、通常の連絡手段が機能しなくなる可能性が高まります。このような状況下では、家族一人ひとりが別々の場所にいる共働き世帯の場合、以下のような課題に直面しやすくなります。
- 通信インフラの混乱: スマートフォンがつながりにくくなり、安否確認が困難になる。
- 情報収集の困難: 家族の状況や災害情報を効率的に得ることができない。
- 子供の安全確保: 学校や保育園からの引き渡し方法や、避難場所への移動手段に不安が生じる。
- 帰宅困難: 交通機関の停止により、家族の元へたどり着くことが難しくなる。
これらの課題を乗り越え、家族の安全を確保するためには、具体的な連絡ルールを事前に設定し、家族全員で共有しておくことが不可欠です。
家族の状況を把握する
連絡ルールを立てる前に、まずは家族一人ひとりの日中の行動パターンと、それぞれの場所での災害時対応について確認しましょう。
- 夫、妻の勤務先: 職場の防災計画、帰宅困難者対策、家族への連絡方法。
- お子さんの学校・保育園: 災害時の引き渡しルール、避難場所、保護者への連絡方法。
- 自宅: 自宅での被災時の行動、近隣の避難場所。
これらの情報を整理することで、災害発生時に家族がどのような状況に置かれる可能性があるかを具体的にイメージできます。
安否確認の3つのステップと具体的な方法
災害時の家族の安否確認は、以下の3つのステップで進めましょう。
ステップ1: 家族間の共通認識を持つ（優先順位と集合場所）
災害発生時、家族の安全を確保するための最も重要な一歩は、共通の行動原則と集合場所を決めておくことです。
- 優先順位の確認:
- まずは自身の安全確保を最優先にすること。
- 次に、家族の安否確認を試みること。
- 連絡が取れない場合は、事前に決めた集合場所へ向かうこと。
- 家族の集合場所の決定:
- 一時集合場所: 自宅が被災した場合などに、まず向かう近所の安全な場所（公園、近所の友人宅など）。
- 広域避難場所: 地域で指定されている広域避難場所。自宅から遠くても、家族全員が知っている場所にします。
- 家族で話し合い、具体的な場所を地図上で確認しておきましょう。
ステップ2: 連絡手段を複数確保する
通信インフラの混乱に備え、複数の連絡手段を準備し、それぞれの使い方を家族で確認しておくことが大切です。
- 災害用伝言ダイヤル171の利用:
- NTTが提供する音声メッセージサービスです。
- 使い方: 「171」に電話をかけ、ガイダンスに従って自分の安否情報を録音するか、家族のメッセージを聞きます。
- ポイント: 月に一度の体験提供日（毎月1日、15日）などに家族で練習し、使い方を習得しましょう。
- 災害用伝言板（web171）の活用:
- インターネットを通じて安否情報を文字で登録・確認できるサービスです。
- ポイント: スマートフォンやPCから利用でき、文字情報なので電波状況が悪くても比較的繋がりやすい場合があります。
- 家族間での連絡アプリのグループ作成:
- LINEなどのメッセージアプリで家族専用のグループを作成し、災害時の連絡用として活用します。
- ポイント: 平時から連絡を取り合い、グループでの連絡に慣れておきましょう。
- 特定の公衆電話や災害時Wi-Fiの活用:
- 災害時には、公衆電話が無料で利用可能になったり、災害時専用のWi-Fi（00000JAPANなど）が提供されたりすることがあります。これらの存在を認識しておきましょう。
- 伝言役の検討:
- 遠方に住む親戚など、被災地から離れた場所にいる人を伝言役として決めておく方法も有効です。被災地内の連絡が困難な場合でも、伝言役を介して安否確認ができる可能性があります。
ステップ3: 定期的にシミュレーションと見直しを行う
計画を立てるだけでなく、実際に使ってみることが大切です。年に数回、家族で連絡訓練を実施し、課題が見つかれば見直しましょう。
- 訓練の実施:
- 月に一度の171体験利用日に、実際にメッセージを録音・再生してみる。
- 家族それぞれが違う場所にいると想定し、安否確認を試みる。
- 集合場所への移動経路を確認してみる。
- 連絡先リストの更新:
- 家族、職場、学校、保育園、親戚など、重要な連絡先を一覧にして、手帳やスマートフォンのメモ、紙などに複数箇所で保管しましょう。
子供にも教える災害時の約束事
幼いお子さんには、災害時に大人と離れてしまった場合の行動を具体的に教えておくことが重要です。
- 「助けて」を言える練習: 困った時には、近くにいる大人に「助けてください」と伝える練習をしましょう。
- 指定された場所へ行く約束: 学校や保育園で引き渡しの際に迎えに来てもらう場所や、家族の集合場所について具体的に教え、その場所の名前を言えるようにしておきましょう。
- 「おうち連絡カード」の準備:
- お子さんの名前、保護者の連絡先、自宅の住所、家族の集合場所などを記載したカードを準備し、カバンや上着のポケットに入れて携帯させましょう。
- お子さんにもカードの存在と、困った時に見せることを教えてください。
マイ防災プランナーを活用して家族の連絡ルールを明確にする
「マイ防災プランナー」のウェブサイトでは、皆様の家族構成やライフスタイルに合わせた防災計画を立てるためのツールと情報を提供しています。今回ご紹介した災害時の連絡ルールも、本サイトのチェックリストやテンプレートを活用することで、より具体的に、そして効率的に作成・共有することができます。
家族が安心して暮らせるよう、ぜひ本サイトの情報を参考に、具体的な行動へとつなげてください。
まとめ
共働き子育て世帯にとって、災害時の家族の安否確認は、準備すべき最も重要な課題の一つです。日中に家族が離れていても、誰もが冷静に行動し、互いの安全を確認できるよう、具体的な連絡ルールを事前に決めておくことは、家族の命を守る「命綱」となります。
忙しい日々の中でも、少しずつで構いません。まずは家族で話し合い、このページで紹介したステップを参考に、できることから実践を始めてみましょう。そして、定期的に見直し、家族全員で共有し続けることが、何よりも大切です。